リフォームをすると、国や自治体から補助金がもらえる場合があります。
2025年は国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携による住宅省エネキャンペーンが行われ、省エネや子育てに役立つリフォームをすると国から補助金がもらえます。どんなリフォームが補助の対象になるのか、申請方法やいくら補助金がもらえるのか、締め切りはいつまでなのか、制度は併用できるのかなどを説明します。
また、リフォームをすると確定申告することで所得税の一部が戻ったり、固定資産税が減額される制度もあります。補助金と減税の両方をきちんと知って対応することで、賢くおトクにリフォームしましょう
記事の目次
住宅省エネ2025キャンペーン
国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携による住宅省エネ2025キャンペーンの内容を紹介します。
住宅省エネ2025キャンペーンの事業は4つ
住宅省エネ2025キャンペーンにおけるリフォームの補助制度は以下の4つです。
子育てグリーン住宅支援事業
先進的窓リノベ2025事業
給湯省エネ2025事業
賃貸集合給湯省エネ2025事業
リフォームの補助対象は主に断熱やエコ設備などの省エネリフォームですが、併せて行う子育て対応改修やバリアフリー改修など幅広いリフォームも対象となります。
上記4つの事業は連携しており、リフォーム内容などに応じて適宜選び組み合わせて申請することができます。それぞれの事業は補助額や条件などが異なるため、一つひとつ説明していきましょう。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、2024年の子育てエコホーム支援事業を引き継いで、2025年に創設された制度です。省エネ改修や子育て対応改修などへの支援が行われます。
子育てグリーン住宅支援事業とは
子育てグリーン住宅支援事業では、省エネ改修やそれに併せて行う子育て対応改修などに対して支援が行われます。
子育てグリーン住宅支援事業の対象者
子育てグリーン住宅支援事業の対象者は、要件を満たすリフォームを行う全ての人です。
以下で紹介する必須工事を行うことにより対象となります。
子育てグリーン住宅支援事業のリフォームの補助対象となる必須工事とは
子育てグリーン住宅支援事業の補助対象となるリフォーム工事は、必須工事と附帯工事があります。
このうち必須工事は補助を受けるために必ず行わなければならない工事で、附帯工事は必須工事と併せて行えば補助対象となります。
必須工事の内容は以下です。
① 開口部(窓・玄関ドア)の断熱改修
窓については内窓をつける、ガラス交換をする、サッシ交換をするなどの工事。玄関は、玄関断熱ドアを設置する工事です。
② 躯体(くたい)の断熱改修
床・壁・天井または屋根を一定の性能以上に断熱する工事です。
③ エコ住宅設備の設置
節水型トイレや高断熱浴槽、高効率給湯器(エコキュートなど)といった省エネ機器を設置します。
必須工事 | ①開口部断熱の改修②躯体の断熱改修③エコ住宅設備の設置 |
---|---|
附帯工事※ | 子育て対応改修、バリアフリー改修など |
子育てグリーン住宅支援事業の対象となる附帯工事とは
附帯工事は子育て対応改修やバリアフリー改修などが含まれます。
詳細は未発表のため、発表になりしだい紹介します。
子育てグリーン住宅支援事業のリフォームは最大補助額60万円
① 開口部(窓・玄関ドア)の断熱改修
② 躯体の断熱改修
③ エコ住宅設備の設置
の3種類全てを実施すると1戸あたり60万円、
いずれか2種類を実施すると1戸あたり40万円
となっています。
メニュー | 補助要件 | 補助額※の上限 |
---|---|---|
Sタイプ | 必須工事3種類の全てを実施 | 60万円/戸 |
Aタイプ | 必須工事3種類のうち、いずれか2種類を実施 | 40万円/戸 |
子育てグリーン住宅支援事業の補助額は、補助対象としてリストアップされたそれぞれの工事に応じて定められています。全体の補助額は実施した個々の工事の補助額の合計となります。個々の工事の補助額は発表になりしだい紹介します。
子育てグリーン住宅支援事業の補助対象にならない工事
昨年の子育てエコホーム支援事業と同様に、子育てグリーン住宅支援事業の補助対象にならない工事がある可能性もあります。
詳細についてはわかりしだいここでも取り上げます。
子育てグリーン住宅支援事業の申請期間
子育てグリーン住宅支援事業は、2024年11月22日以降にリフォーム工事に着手したものが対象です。
申請期間は未発表ですが、同時に実施される先進的窓リノベ2025事業の申請期間が2025年3月下旬から2025年12月31日となっていることから、同様になることが予想されます。
ただし、予算に達ししだい締め切られるので注意が必要です。
子育てグリーン住宅支援事業の申請方法
子育てグリーン住宅支援事業は、施主が直接補助金の申請を行うのではなく、リフォーム会社を通して事務局に申請します。
申請を行うリフォーム会社は事前に事務局に事業者登録を行わねばなりません。
交付申請は工事完了・引き渡し後となりますが、申請予約もできます。予約は3カ月間有効です。
補助金は申請したリフォーム会社に振り込まれ、最終的に施主が受け取ります。
下図は昨年の子育てエコホーム支援事業の内容に基づきます。
子育てエコホーム支援事業※受付終了
2024年に実施された子育てエコホーム支援事業は締め切られましたが、2025年に実施される子育てグリーン住宅支援事業との共通点も多いと思われるので再掲します。
「住宅省エネ2024キャンペーン」の一つが子育てエコホーム支援事業です。
名前のとおり子育て世帯などを補助金額などで優遇することが目玉の事業となっていますが、それ以外の世帯も利用できます。
子育てエコホーム支援事業とは
子育てエコホーム支援事業は、断熱などの省エネリフォームを主な補助対象工事としています。補助対象は子育て中の世帯に限りません。ただし、「子育て世帯」および「若者夫婦世帯」の補助額の上限をそのほかの対象者より引き上げて優遇しているのが特徴となっています。
子育てエコホーム支援事業の補助対象工事は、窓や外壁、屋根などの断熱工事およびエコ住宅設備の設置を必須としています。 外壁や屋根などの断熱ということでは主な対象は一戸建てとなりますが、窓断熱についてはマンションも内窓などの方法で十分に対象となります。また、節湯水栓や節水トイレなどエコ住宅設備は一戸建て、マンションを問わず対象となります。
さらに必須工事と同時に行う子育て対応改修やバリアフリー工事なども補助の対象に含めています。子育て対応は食洗機などの家事ラク設備も対象となりますし、バリアフリーも手すり設置や床段差の解消など、マンションでも可能な工事が多く含まれています。
子育てエコホーム支援事業の対象者
補助対象は子育て中の世帯に限りません。エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結し、所有する自宅を一定の要件を満たしてリフォームする世帯が全て対象となります。ただし、「子育て世帯」および「若者夫婦世帯」の補助額の上限をそのほかの対象者より引き上げて優遇しているのが特徴です。
子育てエコホーム支援事業の優遇対象「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」とは
子育てエコホーム支援事業では、「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」については、補助額の上限が引き上げられます。それぞれの世帯の定義は以下のとおりです。補助額については後述します。
子育て世帯 | 申請時点において、2005年4月2日以降※に出生した子を有する世帯です。 ※2024年3月31日までに工事着手する場合は2004年4月2日以降 |
---|---|
若者夫婦世帯 | 申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降※に生まれた世帯です。 ※2024年3月31日までに工事着手する場合は1982年4月2日以降 |
子育てエコホーム支援事業の対象となる必須工事とは?
子育てエコホーム支援事業は、省エネを中心にさまざまなリフォームが対象となりますが、その中でも必須工事といわれるものがあります。それらの工事を行うことで、そのほかの工事も支援の対象となります。
必須工事は以下の1~3の中から1つ以上を選びます。いずれも一定の性能を満たすことが条件です。
上記のうちいずれか1つ以上のリフォーム工事を行えば、併せて行う以下の4~8の工事がどれでも補助対象になります。
例外規定として、この後で紹介する「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」のいずれかで交付決定を受けている場合は、上記1~3のいずれかに該当する工事を含んでいるものとして取り扱われます。
子育てエコホーム支援事業の補助額は最大60万円
子育てエコホーム支援事業の補助金額は、対象となる工事ごとに設定されていて、例えば開口部の場合では内窓の設置1カ所あたり1万7000円~(サイズ等による)、玄関ドア交換3万2000円~といった具合。またエコ住宅設備では節湯水栓が5000円、高断熱浴槽が3万円です。
以下にキッチンと浴槽の補助金例を挙げてみました。
子育てエコホーム支援事業の補助金は、各工事を合わせて上限は1戸あたり20万円。複数の工事を行っても20万円以上はもらえません。
ただし、「子育て世帯と若者夫婦世帯」が優遇されるほかに、既存住宅(中古住宅)を購入してリフォームをする、あるいは長期優良住宅の認定を受ける場合には、さらに補助額の上限が増えます。
補助額上限はケースに応じて以下のとおりです。
「既存住宅を購入してリフォームする子育て世帯または若者夫婦世帯」が、最も補助額の上限が多く、1戸あたりの上限が60万円となります。
世帯の属性 | 既存住宅購入・長期優良住宅の有無 | 1戸あたりの上限補助額 |
---|---|---|
子育て世帯または 若者夫婦世帯 |
既存住宅を購入しリフォームを行う場合※1 | 60万円 |
長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合 | 45万円 | |
上記以外のリフォームを行う場合 | 30万円 | |
そのほかの世帯 | 長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合 | 30万円 |
上記以外のリフォームを行う場合 | 20万円 |
子育てエコホーム支援事業の補助対象にならない工事
子育てエコホーム支援事業の補助対象にならない工事もあるので要注意です。
まず申請する補助額の合計が5万円未満の工事は補助対象になりません。ただし、この後で紹介する「先進的窓リノベ2024事業」、「給湯省エネ2024事業」 「賃貸集合給湯省エネ2024事業」のいずれかで交付決定を受けている場合は、申請する補助額の合計が2万円以上であれば補助対象になります。
また、玄関ドアの一部につけられたガラスや欄間のガラス交換は補助対象ではなく、玄関ドアそのものの交換でなくてはなりません。
さらに太陽熱温水器は対象ですが、太陽光発電設備の設置は対象ではありません。紛らわしいので注意しましょう。
家庭用燃料電池システム「エネファーム」の設置も補助対象ではありません。
なお、子育てエコホーム支援事業は後述する先進的窓リノベおよび給湯省エネ事業と併用することができ、補助対象が重複している場合もありますが、同じ工事で補助金を重複して受け取ることはできません。事業によって補助額が異なりますので、同じ工事ならより有利な事業を選択しましょう。
子育てエコホーム支援事業の申請期間は?
2023年11月2日以降に着工されたリフォームが対象。 申請期間は2024年3月中下旬から2024年12月31日。※すでに申請の受付は終了
子育てエコホーム支援事業の申請は事業者が行う
子育てエコホーム支援事業の申請は施主が自ら行うのではなく、この事業にあらかじめ登録したリフォーム会社などの工事を行う事業者が行います。
ですからリフォームを行う施主は、登録事業者の中から依頼先を選び、工事請負契約を結び、申請から工事、補助金の受領までを事業者に任せて、工事完了後に事業者から補助金を受け取ることになります。
依頼したいと思うリフォーム会社があったら、この事業に登録しているかを確認し、未登録だったら補助金をもらいたい旨を伝えて、登録してもらいましょう。
先進的窓リノベ2025事業
住まいの中では窓から出入りする熱の割合が高く、窓を断熱することで住まいは暖かくなり、夏の冷房の効き目もよくなります。
窓の断熱リフォームを行うことで補助金がもらえる先進的窓リノベ2025事業を紹介しましょう。昨年の事業を継続するものですが、一部変更もあります。
補助額上限は200万円(補助率は2分の1相当)と子育てグリーン住宅支援事業より多いのが特徴です。
先進的窓リノベ2025事業とは
先進的窓リノベ2025事業は窓を断熱リフォームすることで補助金がもらえる事業です。
窓の断熱リフォームには下記のようにいくつかの方法があります。いずれも補助金の対象です。
上記のいずれかの方法も基準を満たす性能であれば補助金の対象となります。補助額は、窓の断熱性能およびサイズによって変わります。
例えば内窓設置1カ所1万2000円~10万6000円と決まっています。なお、ガラス交換、外窓交換はサイズのほかに一戸建て・低層集合住宅(3階建て以下)か中高層集合住宅かによっても補助額が変わります。内窓は階数によって補助額は変わりません。
工事を行った箇所全部を合計したものが補助金額となります。上限は1戸あたり200万円です。
玄関ドア交換も補助対象
窓のほかに玄関ドアを断熱性の高い製品に変えるリフォームも、窓のリフォームと同時に申請する場合だけ補助金の対象となります。
最近は玄関ドアも断熱材を装填した断熱性の高いものが出ているので、そうしたドアに変えることで住まいの断熱性を上げることができます。
玄関ドア交換のリフォーム方法は次の2つです。
ドア交換の補助額は、サイズと断熱性能で変わります。
一戸建てにおいてはサイズが1.6m2以上2.8m2未満の玄関ドアの場合、「カバー工法」を採用して、
8万7000円~16万3000円(断熱性能による)、
「はつり工法」を採用して、
6万9000円~13万6000円(断熱性能による)となります。
先進的窓リノベ2025事業の補助上限額は200万円
補助額は工事対象の補助額を合計したものになりますが、上限が200万円と決まっています。また、補助額が合計5万円以上のリフォームが補助対象になります。
補助対象工事 | 補助上限額 |
---|---|
ガラス交換 | 1戸あたり200万円 |
内窓設置 | |
外窓(一般的な窓のこと)交換 | |
ドア交換(玄関ドア) |
先進的窓リノベ2025事業の申請期間は?
先進的窓リノベ2025事業の申請期間は2025年3月下旬~2025年12月31日。予算に達し次第締め切られます。
先進的窓リノベ2025事業の申請方法は?
先進的窓リノベ2025事業の補助金の申請を施主自らが行うことはできません。
あらかじめこの事業に登録済みのリフォーム会社など工事事業者が行います。
補助金は工事が終わってから事業者を通じて施主が受領することになります。
給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は高効率給湯器への交換を目的とした補助金事業です。
給湯は家庭で消費されるエネルギーの3割弱を占めます(資源エネルギー庁統計など)。給湯器の高効率化は燃費削減に貢献します。家計のおトクにもなる給湯省エネリフォームの補助金事業の内容を見ていきましょう。
給湯省エネ2025事業とは
給湯省エネ2025事業は、一定の性能をもつ高効率給湯器の設置に補助金が与えられるというものです。
対象となる高効率給湯器とは以下の3種類です。
この補助事業では高効率ガス給湯器「エコジョーズ」だけでは補助対象にならないので注意しましょう。エコキュートとエコジョーズの組み合わせなど、より省エネ性の高い機器を対象としています。
給湯省エネ2025事業の補助額
給湯省エネ2025事業の補助額は機器の種類によって異なります。
それぞれの種類ごとの補助額は以下のとおりです。
種類 | 補助額/台 |
---|---|
ヒートポンプ給湯器 | 基本額:6万円 性能要件を満たすもの:最大13万円 |
ハイブリッド給湯器 | 基本額:8万円 性能要件を満たすもの:最大15万円 |
家庭用燃料電池 | 基本額:16万円 性能要件を満たすもの:最大20万円 |
既存の蓄熱暖房機、電気温水器の撤去にも補助金
給湯省エネ2025事業の対象である高効率給湯器の設置に合わせて、「蓄熱暖房機」および「電気温水器」の撤去を行う場合はその工事に補助金が出ます。
撤去する機器 | 補助額 |
---|---|
蓄熱暖房機の撤去 | 8万円/台(2台まで) |
電気温水器の撤去 | 4万円/台(高効率給湯器設置で補助金を受ける台数まで) |
給湯省エネ2025事業の申請期間は?
給湯省エネ2025事業の申請期間は2025年3月中下旬~2025年12月31日。予算に達し次第締め切られます。
給湯省エネ2025事業の申請方法は?
給湯省エネ2025事業の補助申請は、この事業に登録しているリフォーム会社などの工事事業者が行います。また、補助金は工事が終わってから事業者を通じて受領します。
賃貸集合給湯省エネ2025事業
高効率給湯器の設置に対する補助金事業は、既存の賃貸集合住宅に対しても行われます。この場合の補助対象者は賃貸集合住宅のオーナーです。
対象機器は小型高効率給湯器の「エコジョーズ(熱源:ガス)」と「エコフィール(熱源熱源:石油)です。
補助額は、追い焚き機能の有無で変わります。エコジョーズ、エコフィールともに以下のとおりです。
追いだき機能なし | 補助額:5万円/台 ※共用廊下を横断してドレンレールを敷設した場合:8万円/台 |
---|---|
追いだき機能付き | 補助額:7万円/台 ※浴室へのドレン水排水(三方弁、三本管(二重管含む))工事の場合:10万円/台 |
リフォーム補助事業は併用できる?
「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」の4つの補助事業は併用することも可能です。
ただし、いずれかの事業で補助金をもらった同一箇所のリフォームは、他事業で対象となっていても重複して補助金をもらうことはできません。
国の他の補助事業の場合も同様に同じリフォームで重複して補助金をもらうことはできません。
各事業の補助金額や条件をよく調べた上で、どの事業を活用するかを選びましょう。
なお、自治体の補助制度については原則併用が可能ですが、自治体の補助事業であっても国費が充当されているものは併用ができません。自治体の補助制度を利用する際には、国費が充当されている事業なのかどうかを役所に確認しましょう。
ワンストップ申請
今回の3省連携による住宅省エネ2025キャンペーンにおいて、採用する機器が別の事業においても同一製品の場合があります。その際、ワンストップ申請を行うと補助額などが最も有利になるよう、各事業に振り分けられます。
リフォーム補助金は早いもの勝ち
補助金は国や自治体の予算に基づいて行われている事業です。
申し込みの締め切りが決まっているものでも途中で予算が消化されてしまうと、申し込みが締め切られます。
補助事業によっては公式サイトで予算の消化状況を報告している場合もあります。
状況をチェックしてそれに合わせてリフォームを決める必要もありそうです。
補助金申し込みの注意点
「補助金は自分で申し込みができるの?」「どんなリフォームでも補助金がもらえるの?」
補助金を申し込む際に注意したいことを知っておきましょう。
補助金の申込みはリフォーム会社経由が多い
補助金の申し込みは施主が自ら行うのではなく、その事業に登録しているリフォーム会社が行い、補助金はリフォーム会社にいったん振り込まれてから施主の手に渡るというケースが多くあります。
その場合、もらいたい補助金の事業に登録している会社にリフォームを依頼する必要があります。もし、依頼しようと思っているリフォーム会社が未登録の場合は、登録してもらいましょう。
いずれにしても事業内容を十分に理解しているリフォーム会社に依頼しないとうまくいかないと思いますので、依頼先を探すときは補助金事業への理解をポイントの一つにしましょう。
補助金は一定の基準を満たすリフォームに与えられる
リフォームの補助金をもらうには、それぞれの事業が定めている性能基準を満たす必要があります。
また、窓などの建具や省エネ設備などもそれぞれの事業で指定している製品を採用する必要があります。指定外の製品を設置しても補助金の対象にはなりません。
そのような意味でも補助事業の内容に詳しいリフォーム会社を選ぶ必要があります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、大規模リフォームによって性能を向上させ、丈夫で長持ちする住宅にリフォームするための補助金です。
長期優良住宅化リフォームはどんなリフォーム?
長期優良住宅化リフォームは、次の3つの条件があります。
- ホームインスペクションを受ける
- リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たす
- リフォーム履歴と維持保全計画を作成する
1は住宅の劣化状態などをホームインスペクターなど建築の専門家に調べてもらうことです。
2は、柱などの腐朽を抑える措置などの「劣化対策」、大地震でも倒壊しない「耐震性」、断熱などによる「省エネルギー対策」、一定規模の「住戸面積の確保」(地域によって異なる)の4つが必須です。 上記の必須項目以外に任意項目として、「維持管理・更新の用意性」(給排水管の点検や交換がしやすい)、「バリアフリー化」、「間取りの可変性」(共同住宅の場合)もあります。
以上のように、一定の性能を満たす断熱工事や耐震補強工事などが必須となっていることで、長期優良住宅化リフォームは必然的に大規模リフォームが前提となります。
三世代同居対応などで加算、補助金額上限は210万円(2024年)
長期優良住宅化リフォーム推進事業の2025年の補助額は現時点で未発表ですので、参考に2024年の額を挙げておきます。2025年の補助額は発表になりしだい紹介します。
長期優良住宅化リフォーム推進事業は大規模リフォームが前提になっているだけに、補助金額の上限は最大80万円または160万円(三世代同居対応リフォームなどで50万円加算)と多いです。
上限額80万円と160万円の違いは長期優良住宅(増改築)の認定を取得するかしないかの違いによるものです。長期優良住宅(増改築)の認定を取得すると最大160万円で、三世代同居対応リフォームの加算額50万円を合わせて210万円となります。
補助額は補助対象リフォーム工事費の3分の1です。
長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合 | 80万円/戸(130万円/戸※) |
---|---|
長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合 | 160万円/戸(210万円/戸※) |
詳細は、長期優良住宅化リフォーム推進事業のホームページを確認してください。
介護保険によるバリアフリーリフォーム
要介護・要支援の認定を受けている場合、介護保険制度によって、手すり設置など住宅のバリアフリーリフォームに補助金が出ます。
介護保険によるリフォーム補助金は最大18万円
介護保険によるバリアフリーリフォーム補助金は、要支援1か2、要介護1~5の人が対象です。自宅で生活している人が対象なので、施設に入居している場合は対象になりません。
補助金の対象となるリフォームは「手すりの設置」「床段差の解消」「床や階段を滑りにくくする」「引き戸等への交換」「和式便器を洋式便器に交換」などですが、昇降機や段差解消機など動力を用いるものなど工事内容によっては対象にならない場合があります。
リフォーム費用20万円までが支給の対象で、うち1割が自己負担となります。つまり18万円が補助金によってまかなえます。ただし、所得によって自己負担の割合が2割または3割になる場合があります。
申請は補助金を受ける人が行いますが、介護保険によるリフォームは、ケアマネージャーが内容をよく知っているので、相談して進めましょう。
耐震リフォーム補助金は自治体から
耐震リフォームついては多くの自治体で補助事業を行っています。
その一部を例として紹介しましょう。
耐震診断、耐震改修に補助金
耐震リフォームの補助金は、主に1981年の新耐震基準に満たない住宅が対象で、現行基準レベルに耐震性能を引き上げるものでしたが、最近では新耐震基準以降の建物についても補助を行う自治体が出てきています。築古の一戸建て住宅を主な補助対象にしています。
東京では新耐震基準施行以後に建てられた住宅にも耐震助成を行う区が増えました。
耐震診断、診断後の補強設計、改修工事費それぞれに補助金を出すケースが多いようです。
自治体の例を見てみましょう。
【兵庫県神戸市】
・対象となる住宅
1981年5月31日以前に着工された耐震性の低い住宅(プレハブ・丸太組工法は除く)
・補助金額
耐震診断:無料
計画策定費補助(耐震リフォームプラン作成):対象費用の10分の9(上限27万円)
耐震補強工事費補助:対象費用の5分の4(上限80万円)
(一戸建て、2024年度の場合)
【東京都足立区】
・対象となる住宅1
1981年5月以前に建てられた木造一戸建て住宅
・補助金額
耐震診断:上限30万円
耐震改修工事:工事費用の9割(上限150万円)
(2025年度まで)
・対象となる住宅2
1981年6月から2000年5月までに着工された2階建て以下の木造一戸建て住宅
・補助金額
耐震診断:上限30万円
耐震改修工事:工事費用の9割(上限一般地域150万円、特定地域200万円)
【静岡県静岡市】
・対象となる住宅
1981年5月31日以前に建てられたか建築中であった木造住宅
・補助金額
耐震診断に基づく補強設計と補強工事合計:かかった費用の8割(上限100万円)
(一戸建て、2024年度の場合)
耐震診断を事前に受けることが必要
各自治体で行っている耐震リフォームの補助ですが、自治体で派遣してくれる建築士の耐震診断を受ける必要があります。
診断によって住宅の状態を調べ、必要な補強プランを策定し、工事へという流れに沿って行う必要があります。
耐震リフォームの補助金をもらうには下記のようなプロセスが必須です。
- 自治体に相談し、耐震助成の有無を確認
- 耐震助成を実施している場合は、自治体の耐震診断士を派遣してもらう
- 補強が必要と診断されたら耐震助成の申請を行う
- 診断補助金の振込
- 耐震改修工事の助成について申請
- 工事完了後完了申請
- 補助金の振込
耐震リフォームの補助を受けるには法令違反がないこと
例えば面積をオーバーしている、あるいは接道義務を満たしていないなど、法律に違反している住宅は、補助を受けられません。
ただし、条件によっては補助が可能になる場合がありますので、役所に相談してみましょう。
リフォームすると税金の一部が戻ってくるリフォーム減税制度
一定のリフォームをすると所得税などが一部戻る減税制度もあります。減税制度は補助金事業と併用ができます。補助金に加えて減税でダブルにおトクになる制度を賢く活用しましょう。
リフォームに伴う減税制度には以下の3種類があります。
減税制度の種類 | 住宅ローン控除 | リフォーム減税 (住宅特定改修特別税額控除) |
固定資産税の減額 |
---|---|---|---|
利用可能なケース | 10年以上のローンを利用して行う新築やリフォーム、既存住宅購入の場合など | ローン利用の有無にかかわらず、一定の要件を満たす省エネ、耐震などリフォームを行う場合 | 一定の要件を満たす省エネ、耐震などのリフォームを行う場合 |
ローン期間 | 10年以上 | ローン利用の有無は関係なし | ローン利用の有無は関係なし |
控除期間 | 10年 | 1年 | 1年 |
最大控除額 | 140万円 | 80万円(太陽光発電を含む長期優良住宅化リフォーム) | 2分の1を減額(耐震リフォーム) |
住宅ローンを利用してリフォームすると10年間所得税等が控除
住宅ローン控除は、既存住宅の購入およびリフォームでは10年間にわたってローンの年末残高の0.7%が所得税から(控除しきれない部分は住民税から)控除されます。控除対象の借入限度額は2000万円。10年間の最大控除額は140万円となります。
住宅ローン控除が受けられる所得要件は2000万円以下です。年間の合計所得が2000万円を超えると控除は受けられません。
リフォーム後の床面積は50m2以上あることも要件となっています。
また、住宅ローン控除を受ける場合のリフォームは内容に制約はありません。
特定のリフォームで所得税を減税(住宅特定改修特別税額控除)
一定の基準を満たす特定のリフォームを行い、所轄の税務署に確定申告を行うと所得税が戻ります。制度の期間は2025年12月31日まで。
住宅ローン控除と違って、住宅特定改修特別税額控除におけるリフォームは一定の性能基準を満たすものでなくてはなりません。
この制度で所得税が控除されるのは工事を行った翌年の1回のみです。なお、住宅特定改修特別税額控除と住宅ローン控除は併用ができません(耐震リフォームを除く)。
対象となるリフォームは以下のとおりです。
それぞれのリフォームには控除の対象となる工事限度額が定められていて、その10%が所得税から控除されます。また、対象工事と併せて行うそのほかのリフォームおよび対象工事限度額を超えた工事も一定の範囲まで控除対象となります(控除率は5%)。下表の最大控除額は対象工事とそのほかの工事費等を合わせた場合(工事費の限度は1000万円)です。
耐震リフォーム | 対象工事限度額:250万円/最大控除額: 62.5万円 |
---|---|
バリアフリーリフォーム | 対象工事限度額:200万円/最大控除額:60万円 |
省エネリフォーム | 対象工事限度額:250万円(350万円)/最大控除額: 62.5万円(67.5万円) |
三世代同居対応リフォーム | 対象工事限度額:250万円/最大控除額62.5万円 |
長期優良住宅化リフォーム (耐震+省エネ+耐久性) |
対象工事限度額:500万円(600万円)/最大控除額: 75万円(80万円) |
長期優良住宅化リフォーム (耐震or省エネ+耐久性) |
対象工事限度額:250 万円(350万円)/最大控除額:62.5 万円(67.5万円) |
子育てリフォーム | 対象工事限度額:250万円/最大控除額:62.5万円 |
例えば耐震リフォームの場合は、250万円までの工事が控除対象で、その10%が所得税から控除されます。
なお、控除対象となる工事費の算出は難しいので、リフォーム会社に相談するのがよいでしょう。
上記の控除額は現金でリフォームする場合もローンを利用する場合も同様です。
固定資産税が減税になるリフォームも
耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームについては固定資産税も以下のように減税になります。制度の期限は2026年3月31日まで。
固定資産税の減額は住宅ローン控除および住宅特定改修特別税額控除を受けていても併用して受けられます。
耐震リフォーム | 税額の2分の1を減額 (120m2相当分まで) |
---|---|
バリアフリーリフォーム | 税額の3分の1を減額 (100m2相当分まで) |
省エネリフォーム | 税額の3分の1を減額 (120m2相当分まで) |
長期優良住宅化リフォーム | 税額の3分の2を減額 (120m2相当分まで) |
耐震リフォーム減税とは
マイホームの耐震リフォームを行った人が対象。1981年5月31日以前に建築された住宅で、リフォーム後の家屋が現行の耐震基準に適合しなければなりません。
バリアフリーリフォーム減税とは
50歳以上の人や要介護・要支援の認定を受けている人、所得税法上の障がい者本人または同居している親族、65歳以上の高齢者である親族と同居している人が対象です。工事内容は、浴室の改良、洋式便器への取り替え、手すり設置、床段差の解消、ドアを引き戸に変える、滑りにくい床にするなどです。
省エネリフォーム減税とは
マイホームの省エネリフォームを行った人が対象。ここで省エネリフォームとは、居室の窓を内窓設置やサッシ交換などで断熱、併せて床、壁、天井を断熱し、一定の性能以上とする工事を指しています。
三世代同居対応リフォームとは
キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかを増設する工事を行った人が対象です。リフォーム後にキッチン・浴室・トイレ・玄関のうちいずれか2つ以上が複数箇所あれば対象になります(増設はミニキッチン・シャワー専用浴室可)。例えば、キッチンが2カ所、トイレが2カ所にあればOKです。この場合トイレがもとから2カ所にあれば増設はキッチンのみでよいことになります。
長期優良住宅化リフォーム減税とは
小屋裏の換気性を高める、外壁を通気構造等にする、土台や柱等に防腐防蟻工事を行う、配管の維持管理または更新を容易にする工事など、建物を長く維持できる耐久性向上工事と併せて耐震性、省エネ性を向上させる工事を行う人が対象です。
耐震、省エネ、耐久性の向上を同時に行うケースと耐震または省エネと耐久性向上工事を行うケースでは控除限度額が異なります。
子育てリフォームとは
子育て世帯(19歳未満の子を有する世帯)または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯が、子育てに対応したリフォームを行う場合が対象です。子育てに対応したリフォームとは、住宅内での子どもの事故を防止するための工事(窓の手すりなど)、対面式キッチンへの交換、開口部の防犯、収納の増設、床などの防音工事、一定の間取り変更工事を指します。
各リフォームに共通する要件
リフォーム減税(住宅ローン控除を除く)の各リフォームに共通する主な要件は、以下です。
- 対象工事の工事費が補助金等を除いて50万円超であること(耐震リフォームは工事費要件なし。国交省が定めている標準工事費で算出)。省エネリフォームと併せて太陽光発電などを搭載する場合は60万円以上あること。
- 工事後の床面積が50m2以上あること(耐震リフォームは面積要件なし)。
- 控除期間は工事を完了した年の翌年だけです。
- 所轄の税務署に確定申告書とともに建築士等が発行した「工事証明書」など必要な書類を添えて確定申告をします。
- 対象工事費が補助金等を除いて耐震リフォーム、バリアフリーリフォームは50万円超、省エネリフォームは太陽光発電等を搭載の場合60万円超、長期優良住宅化リフォームは耐震が50万円超、省エネは60万円超(工事費は実質かかった金額で算出)。
- 工事後の面積は50m2以上280m2以下であること(耐震は面積要件なし)。
リフォーム資金を贈与された場合の非課税枠
リフォーム資金や既存住宅購入資金を親など直系尊属から贈与されたときは一定の範囲で贈与税がかかりません。
非課税の限度額は、省エネ性能など質の高い住宅は1000万円まで、一般の住宅は500万円までです。
リフォームの場合は性能を上げる工事を行えば、贈与税の非課税枠が倍に広がります。
質の高い住宅※ | 一般住宅 |
---|---|
1000万円 | 500万円 |
断熱等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
耐震等級2以上または免震建築物
高齢者配慮対策等級3以上
リフォームの資金を贈与されたら、贈与税はかかる?贈与税非課税になる制度をチェック
まとめ
2025年に利用できるリフォームの補助金は、子育てグリーン住宅支援事業、先進的窓リノベ2025事業、給湯省エネ2025事業、長期優良住宅化リフォーム推進事業など豊富にラインアップされています。事業によって補助金がどれくらい異なるのかを調べて有利なものを選びましょう。また、申請期限が設定されていても、予算に達し次第締め切られてしまうので、早めに準備をすることも大切です。
さらにリフォームを行うことで所得税の控除や固定資産税の減額も受けられます。10年以上のローンを借りた場合は10年間にわたって所得税が控除される住宅ローン控除が利用できます。10年未満のローンの利用や現金でのリフォームの場合は、省エネリフォームや耐震リフォームなど特定のリフォームに関して所得税の控除が行われ、併せて固定資産税も一定割合で減額されます。
4号特例縮小でリフォームも建築確認申請が一部必要に。2025年4月の建築基準法改正を解説
構成・取材・文/林直樹 イラスト/桔川シン