住まいの外壁は築年数がたつと修理や補修が必要になります。外壁にはどのような劣化が見られ、修理にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。また、DIYをすることは可能なのでしょうか。外壁のリフォームについて、さくら事務所のプロホームインスペクターで一級建築士の安富大樹さんに話を聞きました。
記事の目次
住宅の外壁材にはどんな種類がある?
修理のコストや周期に関わる主な外壁材の種類を知っておこう
外壁材にはさまざまな種類があります。以前は、モルタルを塗って仕上げられたものが一般的でしたが、最近はサイディングやタイルなど外装材を張るケースが主流になっています。現在の住まいの外壁がどんな外壁材で施工されているかによって、修理や補修の時期、費用などが違ってきます。まずは、住宅に使用される主な外壁材の種類と特徴についておさらいしておきましょう。
窯業系サイディング
現在、住宅の外壁材の主流となっているのが窯業系サイディングです。
「サイディングや塗り壁が住宅の外壁で使用されることが多いのですが、そのなかでもよく見られるのが、窯業系サイディングです。建売住宅でも窯業系サイディングが多くなっています」(安富さん、以下同)
窯業系サイディングとは、セメント質原料や繊維質原料を主な原料に使って板状に成型したもの。色のバリエーションが豊富なため、注文住宅やリフォームで張り替える場合は外観のカラーコーディネートを楽しむことができます。また、レンガ調やタイル調などさまざまなデザインがあるのも特徴。選ぶデザインによって、住まいの外観を大きく変えることもできます。
金属系サイディング
「外壁材の主流といえるサイディングのなかでも、最近多くなっているのがガルバリウム鋼板などの金属系サイディングです。シャープでかっこいい印象になることから色はブラック系が人気です」
以前はガルバリウム鋼板といえばシルバーでしたが、最近は色のバリエーションが増え、ネイビーやブラック、グレー、ホワイトなどさまざまな色から選べるほか、ツヤあり、ツヤ消しなど質感も好みで選べます。タテに張るか、ヨコに張るかによっても外観の印象は変わりますから、リフォーム会社と相談しながら選ぶといいでしょう。
金属系サイディングにはスチール系、アルミ系、ステンレス系などもあります。スチール系に入るガルバリウム鋼板は鉄板を基材としてアルミニウム、亜鉛、シリコンでメッキを施したもの。軽量な点も特徴です。アルミ系は軽量で柔らかい素材のため施工のしやすさが特徴。ステンレス系は価格が高いため一般的ではありませんが、耐久性・耐候性に優れているという特徴があります。
ガルバリウム鋼板の屋根が人気の理由は? メリット・デメリットや費用相場、ほかの屋根材との比較、メンテナンス方法を紹介
樹脂系サイディング
塩化ビニル樹脂製のサイディングで、北米でよく使われています。耐久性や耐候性があり、寒さや塩害にも強いため、日本では寒冷地を中心に普及しているサイディングです。軽量で施工も比較的しやすいため、リフォームの際には既存の壁を撤去せずに施工する重ね張り(カバー工法)がよく用いられます。
木質系サイディング
板状にした木材に塗装をしたものが木質系サイディング。天然の木の味わいが感じられ、年月とともに色合いの変化を楽しむこともできます。調湿性能などを損なわないよう表面を炭化処理した板が多く利用されます。以前は防火指定区域では選択肢が限られていましたが、最近は不燃処理を施した製品で防火指定区域でも使用可能になっているものもあります。
サイディング外壁のリフォーム。素材の種類と特徴、張り替え・重ね張り(カバー工法)の費用目安と実例も紹介
タイル張り
モルタルやコンクリートの外壁の仕上げ材として使われるのがタイル張り。耐久性、耐火性、耐候性に優れていますが、材料費が高く施工にも手間がかかるため工期が長くなり、施工費用が割高になります。それでも、色やデザインの種類が豊富なこと、高級感が感じられる外観になるメリットは大きいといえます。外壁全面ではなく、デザインのアクセントとして使用されるケースも多くあります。
塗り壁
モルタルや漆喰(しっくい)などの材料を使って外壁を塗り、表面をコテやハケを使う左官や吹き付けなどで仕上げます。モルタルはセメントに砂と水を加えたもの、漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)にのりやスサ(繊維質のつなぎ材)を加えたものです。どちらも耐久性に優れ、塗り方、仕上げ方によって外観に個性を出せる点がメリットです。
外壁の修理・補修は何年おきに必要?
10〜15年で再塗装が必要
外壁は雨や雪、風、気温の変化、紫外線などにさらされています。そのため経年変化が大きく、一戸建てを建てたり、買ったりしたあとには定期的なメンテナンスが必要です。まず計画しておきたいのは外壁の塗装面の定期的な塗り替えです。計画的にメンテナンスを行うことは、雨風や紫外線などの過酷な環境から外壁を保護するだけでなく、建物の美しさを保つことにもつながります。
「外壁材の種類やグレード、劣化状況にもよりますが、基本的には新築から10〜15年くらいで再塗装が必要になります。外壁材に施工されているコーティング材(塗膜)が劣化すると、張り替えが必要な劣化に進行する可能性が出てきてしまいます。外壁材を保護している塗膜は、人間でいえば肌に日焼け止めを塗るようなイメージです。日焼け止めは一度塗っても汗で流れたりすると肌が直接紫外線に当たってしまい、日焼けやシミにつながります。それと同じで外壁材の塗膜も塗り直しをしてあげないと外壁そのものが直接紫外線に当たり、傷んでいってしまいます。外壁そのものが傷む前であれば、再塗装を繰り返すことでメンテナンスのトータルコストを抑えられますから、短期間でコストのかかる張り替えが必要にならないよう、定期的に塗装をし直すことが大切なのです」
立地条件などで外壁の劣化スピードは違ってくる
外壁の経年変化は立地条件などによって違ってきます。場合によっては、早めに補修や修理が必要になることも。
「紫外線が当たりやすい外壁面では、サイディングボードのつなぎ目の防水処理(コーキング)が早く縮み、劣化してしまうことがあります」
外壁のメンテナンスをしないとどうなる?
一般的には10〜15年で必要となる外壁の再塗装ですが、見た目はまだまだきれいだからと放置しておくとどうなるのでしょうか。
「撥水性が劣ることで外壁材が湿気を帯びて弱くなり、地震の際などちょっとした力でもヒビ割れてしまうことがあります。また、サイディングなら紫外線でコーキング(防水処理)が劣化したり、サイディングが反ってしまったりすると、できた隙間から雨水が壁の中に入ります。それが雨もりの原因になったり、湿気を好むシロアリの被害につながったりする可能性があります。こまめにメンテナンスをすることは、これらの被害のリスクを下げることにつながります」
外壁にどんな症状が出たら修理・補修のサイン?
症状が出る前にメンテナンスすることが大切
外壁材を長持ちさせて、大がかりな張り替えリフォームまでの期間を長くするには、本来は劣化や不具合の症状が出る前に修理や補修をするのが望ましいといえます。
「とはいえ、症状がまったくない状態で塗り直しをするとなると、7〜8年おきに再塗装、というようなことになります。ですから、塗り直しは10〜15年おきを基本として、定期的に、特に大きな地震があった後には建物の周囲をぐるりとまわって外壁の様子を見てみること。新築から10年以上たったころに、プロのホームインスペクターにチェックしてもらうのがいいでしょう。地震などで影響を受けていないか、どこがどの程度劣化しているか、どこが劣化しやすい家なのかという家の個性を把握することにもつながります」
外壁表面のチョーキング
自分でも確認しやすい外壁材の劣化の症状のひとつがチョーキングです。
「外壁の表面を手でこすると、白い粉がつくことがあります。これは外壁材に塗られている塗膜材が劣化したものでチョーキングと呼ばれ、ほとんどの外壁材に見られる症状です。白い粉が多くつく場合は、外壁材が塗膜で守られていない状態ということ。そろそろ塗り替えを考える時期ということです」
コーキング(防水処理)の劣化や外壁のひび割れ
サイディングボードの継ぎ目に充填されているコーキング(防水処理)は、前述のとおり、紫外線などの影響で縮んだり剥がれたりします。
「シーリング部分に隙間ができているなど劣化が見られたら、リフォーム会社などプロに頼んで、全体的にチェックしてもらうのがいいと思います」
気になる変化を見つけたらリフォーム会社などに相談を
新築や前回の補修から年月がたてば、チョーキングやコーキングの劣化のほか、外壁にひび割れが入っていたり、外壁材が浮いていたりすることがあります。また、自分では落とせないようなカビやコケ、藻などが外壁につくことで外壁を保護する塗膜が機能しなくなっていることも。メンテナンスをせずに長年放置していたことで、金属系サイディングがサビていることもあります。
外壁の変化はさまざま。どの程度の症状なら修理や補修を急ぐ段階なのか、どのような方法で対応するのがいいのかは、リフォーム会社などプロに相談するのが安心です。
外壁修理・補修の方法と費用相場は?
費用は家の規模や修理内容、材料のグレードなどで変わる
定期的に必要な外壁の修理・補修。いくらくらいかかるのか費用の相場が気になるところです。費用は家の規模や修理内容、材料のグレードなどさまざまな要因で変わります。
ここでは、延床面積120m2の木造2階建ての一戸建てを想定し、足場代なども含んだ修理・補修費用、張り替え費用の目安を紹介します。なお、使用する塗料や外壁材によって費用は上下しますし、ほかの工事と同時に行うことで足場代が共有される場合があるなど、工事内容によっても費用は異なります。この記事に掲載する費用は外壁の修理・補修または張り替えのみを標準的な材料で行った場合であくまでも目安です。実際に、外壁の修理や補修、張り替えを予定しているなら、必ず複数の会社に見積もりを取って比較検討するようにしてください。
外壁の塗り替えにかかる費用は?
「2階建てで総床面積が120m2くらいの一戸建ての場合、足場を立てて、外壁全面の塗り直しをすると費用は100万円くらいからが目安です」
費用を左右するのは主に塗料のグレード。塗料にはアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、遮熱、光触媒とさまざまな種類があり、下の表のように種類によって耐久性や価格、特徴が異なります。
「塗り替えの費用は安く済むけれど耐用年数の短いアクリルの塗料は、現在、ほとんど使われていません。実際に使われているのはウレタン系かシリコン系で、最近は耐候性、防汚性に優れたシリコン系が主流です」
塗料は価格が高いほど耐久性も高くなり、塗り替えの頻度を減らせる傾向にあります。しかし、長期間もつからといって高額な塗料を使うのは割高になることもあります。例えば、耐用年数に届かないうちに、ほかのリフォームやリノベーションを予定していたり、建て替える予定があったりする場合です。工事や建て替えの時期に次の塗り替え時期が重なるようにした方が、コストを抑えることができます。
外壁の張り替えにかかる費用は?
「外壁のサイディングを張り替える場合の費用は、220万円~250万円くらいが目安になります。張り替えも、選ぶ外壁材によって費用が変わります。現在、主流になっている窯業系サイディングは価格が安めです」
サイディングの場合、塗料のように価格の高さと耐久性は比例しません。主流の窯業系サイディングは衝撃に強く、樹脂系サイディングは水や塩害に強いなどそれぞれに特徴があります。金属系サイディングは傷がつくとそこからサビが出てしまいますが、傷が付かなければ耐用年数は長くなります。実際の耐久性は塗料のグレードによっても違います。張り替えをする際は、外観のデザインや色をどう仕上げたいか、予算はいくらかなどによってサイディングを選ぶのがいいでしょう。
カバー工法でかかる費用は?
既存の外壁の上に新しい外壁材を重ねて張るのがカバー工法(重ね張り)です。
「既存の外壁の解体・撤去や廃材の処分費用がかからない分、張り替えよりは安く180万円からが目安です」
カバー工法は、張り替えに比べると費用を抑えることができる点がメリットです。ただし、家全体の重量が増えるため、施工後の耐震性能に問題はないかリフォーム会社に確認することが必要です。また、既存の外壁や躯体の状態を確認せずに流れ作業のように重ね張りをしてしまうと、劣化状態が隠れてしまい将来的に不具合が起きたときの原因が特定しにくくなります。
外壁リフォームの方法は、塗り替え、重ね張り(カバー工法)、張り替えの3種類。費用の違いや実例・補助金、助成金・業者選びの注意点も紹介!
外壁の修理・補修の際は屋根も一緒の施工がおすすめ
この記事では外壁のみを修理・補修、張り替えを行った場合の費用の目安をご紹介しましたが、屋根の塗り替えや張り替えも外壁と同じような周期で必要になります。外壁と屋根のリフォームの時期を別にすると、リフォームの度に数十万円の足場代がかかります。そのため実際には、外壁リフォームの際には屋根のリフォームも同時に行うのが一般的です。
屋根リフォームの改修方法は、塗り替え、重ね葺き(カバー工法)、葺き替えの3種類。費用相場や実例、補助金も紹介!
塗り壁をサイディングに変えられる?
外壁のリフォームをする際、モルタルの塗り壁を、サイディングを張った壁に変更することなど、外壁材の種類を変えることは可能なのでしょうか?
「可能ですが、費用は大きくかかることになります」
モルタルをサイディングに変更した場合、断熱性がアップする、家全体の重量が軽くなるため耐震性が高くなるといったメリットがあります。しかし、すべてのモルタルの外壁を撤去し、サイディングを張るための下地処理などを行う大掛かりな工事になるため費用が大きくなるのです。
「モルタルはモルタル、サイディングはサイディングに合ったメンテナンスやリフォームをする方が、コスト的なメリットが大きいと思います」
外壁の修理・補修はDIYでできる?
パテで小さなヒビを修理するのは可能?
自分で家の外壁をチェックしていたときに見つけたモルタルの小さなヒビや、サイディングの継ぎ目にあるコーキング(防水処理)の劣化など、ホームセンターでパテやコーキング剤を買ってくれば自分で補修できそう。ちょっとした修理や塗料の塗り替えなどできることはDIYでリフォームしても大丈夫なものなのでしょうか?
2階建ての一戸建てを塗り替えるとなると、高いところでの作業は危険が伴います。安全性を考えて足場の設置を専門の会社に依頼したとしても、慣れない高所での塗り替えは心配です。高所作業のある修理やリフォームはおすすめしません。
では、地面から手の届く範囲で見つけたヒビなどの補修はどうでしょう?
「低い位置にあるヒビを、とりあえず埋めておく、というDIYは良いとは思います。しかし、1階部分でヒビが出ているということは、おそらく2階部分にも何か不具合が出ていると考えられます。建物を長持ちさせるためのメンテナンスということであれば、気になるところだけでなく、全体をチェックして修理・補修する必要があるため、DIYでは難しいと思います」
修理しておくべき劣化や不具合を見逃すリスクがある
外壁をDIYで修理や補修することは、メンテナンスをまめに行っているように見えて、実は大きなリスクがあります。
「気になる箇所を自分で修理・補修をして満足してしまったら、気づかなかった劣化箇所をそのままにしてしまうことになります。例えば、築15年くらいで見つけたヒビなどを自分で修理したとします。その後、築30年の時にリフォーム会社などのプロにメンテナンスを依頼して見つかった劣化は、15年前だったら容易に直せたのに、自分で発見できずに放置していたために大がかりな工事になってしまうという可能性はおおいにあり得ます」
施主が気づかなくても、専門知識のあるリフォーム会社やホームインスペクターなら気がついて、早期に手を打てることで、コストを抑えながら家を長持ちさせるメンテナンスにつなげられます。
「特に、風が強いエリアや海が近いエリアなど、立地によって発生しがちな特別な劣化部分というのもありますから、家の状態をトータルでチェックしてもらうことが大切です」
外壁のチェックはいつするのがいい?
瑕疵保険の保険期間が切れる前にチェック
補修を行った事業者に保険金が支払われる保険があります。新築の場合は住宅瑕疵担保責任保険、中古の場合は既存住宅売買瑕疵保険といいます。
「構造や防水面での不具合で生じた損害には保険金が支払われますから、保険期間が切れる前、引き渡しから9年目くらいでホームインスペクションを利用する方が多くいらっしゃいます。その際に、外壁のチェックも受けておけば安心です」
大きな地震の後は外壁だけでなく家全体をチェック
地震によって外壁材のひび割れや壁内の劣化が見られることもあります。大きな地震があった後には外壁のほか、家全体の状態をプロに確認してもらい、必要な修理・補修を行いましょう。
外壁の破損は火災保険で補償されることがある
外壁の修理に火災保険は使える?
住宅の火災保険への加入は、住宅ローンを借りる際の条件になっていることが多く、また、住宅ローン完済後も万が一に備えて加入している人が多いでしょう。火災保険は火災による損害だけでなく、台風などの風災や雪災、ひょう災などの自然災害にも対応しています。つまり、火災だけでなく自然災害によって外壁が破壊されたり、剥がれたり、ヒビが入ったりした際は、条件を満たす必要はありますが火災保険の対象となり、補償を受けることができます。
- 自宅の火災やもらい火による延焼
- カセットコンロやガスボンベ、ガス漏れなどによる爆発
- 台風や竜巻、強風で物が飛んできて外壁にぶつかった場合
- 大雨や浸水、土砂崩れなどによる被害
- 大雪やひょうなどによる被害
補償の範囲は要確認。経年劣化によるヒビ割れなどは対象外
火災保険は加入している保険の種類によって補償の範囲が異なります。一般的に「住宅火災保険」は火災や風災など基本的な自然災害が補償対象。「住宅総合保険」では、水害や人災による被害も対象になるのが一般的。さらに、住宅総合保険よりも補償範囲の広いオールリスクタイプの保険もあります。加入している保険の種類や補償範囲を確認しておきましょう。
外壁にはさまざまな原因で劣化や破損が起こります。注意したいのは、保険の適用外になるケース。経年劣化によるヒビ割れや剥離のほか、施工不良による不具合、補修費用が火災保険の免責金額(損害額に対する補償のうち、補償を受ける人の自己負担になる金額のこと)を下回る場合は保険金を受け取ることができません。
また、地震が原因の外壁のヒビ割れや破損は火災保険ではなく地震保険の補償範囲。地震保険に加入していなければ補償を受けることはできないので注意しましょう。なお、地震保険は火災保険の保険期間の途中でも付けることができます。
補償されるのは現状復旧の範囲
外壁の修理費用を火災保険でまかなえることになっても、補償されるのは現状復旧の範囲。修理に使う塗料や外壁材は、既存の壁で使用されているもので見積もられるため、せっかくだからとグレードの高い材料を使っても差額は自分で負担することになります。
外壁修理で火災保険がおりるまでの流れは?
自然災害等で外壁が破損し、火災保険で修理費用がまかなえそうな場合、次のような手順で保険会社に申請を行います。
(1)修理・補修の工事費用の見積もりを施工会社に依頼する
(2)保険会社に火災保険を申請する
(3)保険会社から派遣された鑑定人が被災箇所の確認を行う
(4)鑑定結果によって火災保険がおりるか、保険金額はいくらになるかが決まる
(5)保険受給決定後、保険金が支払われる
注意したいのは、保険の申請をする前に修理をしないようにすること。まずは工事費用の見積もりを取ることが必要です。また、保険会社から被災箇所の写真提出を求められることがあるので、必ず撮影しておきましょう。火災保険の申請に慣れている施工会社なら、写真の撮影や申請に必要な書類の作成など、スムーズな対応が期待できます。
外壁の修理・補修で後悔しないリフォーム会社の選び方
外壁のメンテナンス、どんな会社に頼むのがいい?
そろそろ外壁のメンテナンスや張り替えをしなくては、という時期が来たら、どんな会社に依頼すればいいのでしょうか?
「さまざまな施工会社がありますが、新築やリフォーム、メンテナンスなど幅広く手がけていてノウハウ豊富な会社に依頼するのがいいと思います。外壁の塗り替えだけなら、塗装会社さんにお願いすることもできますが、塗装や簡単な補修ならしてもらえますが、例えば外壁にあったヒビ割れが建物にどう影響している可能性があるかというところまで見極めて、アドバイスをするのは難しいことが多いでしょう。外壁だけでなく、家の構造や壁の中のことまでわかっている建築士にチェックしてもらえると安心です」
打ち合わせで感じる施工会社との相性も大切
「塗装だけだからといって簡単に依頼するのではなく、打ち合わせをして会社の雰囲気や担当者との相性を感じることも大切です」
ホームページだけを見て判断するのではなく、気になる施工会社があったら事務所に出かけて施工例を見せてもらうなど、施工会社の担当者とコミュニケーションをとったうえで依頼するかどうかを判断しましょう。
4号特例縮小でリフォームも建築確認申請が一部必要に。2025年4月の建築基準法改正を解説
●取材協力/安富大樹さん</P
構成・取材・文/田方みき
イラスト/藤井昌子
日本ホームインスペクターズ協会 公認ホームインスペクター。大手リフォーム会社にて、木造一戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。工務店で新築木造住宅の設計を経験し、設計事務所設立。木造住宅を中心とした新築・リフォームの設計及び監理を行う。一級建築士、既存住宅状況調査技術者、マンションリフォームマネジャー、福祉環境コーディネーター2級。
広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターに。現在は主に、住宅ローンや税金など住宅にかかわるお金や、住まいづくりのノウハウについての取材、記事制作・書籍編集にたずさわる。